初雪~Bonus story 2~

ご注意
 このお話は『初雪~Bonus storyⅠ』の続きのお話しです☆
 まだお読みでない方はVol.1~5+Bonus storyⅠを先にお読みください!



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ヘミョンからのメールを読み終えたチェギョン。
このヘミョンからの思わぬ大好物のプレゼントに顔が綻ぶ。



「きゃあ!やった~!
 ポッサムキムチ!
 超嬉しい~!」


体全体で喜びを表現しながら、飛びっきりの笑顔を見せるチェギョン。
さっきまで怒っていたことも忘れ、一人悦に入っていたが、シンが傍にいたことを思い出し、慌てて笑顔を消すのだった。



「ご、ごめん。
 シン君、キムチ嫌いだった、よ、ね?」



シンの顔を見ることができず、はの字に下がった眉で俯いてしまったチェギョン。


いつもであれば自分を冷たい視線で射抜き、「浮かれ女」とか「明朗病」とか、辛辣な言葉と共に反撃して来る筈のシンだが、なぜか口元を手で押さえ、どこか狼狽えているようだ。




まさか、“アレ”が姉さんの仕業だったとは!
これはマズイ━。



自分の勘が外れたことを知り、珍しく動揺するシン。




シンは昨夜、キッチンで“アレ”=堆く積まれたキムチ入りタッパーを発見した時、チェギョンが食べたいと駄々を捏ね、府院君夫妻(チェギョンの実家の両親)にオネダリし取り寄せたか、または、昨日の公務“キムジャン”で食い気丸出しでお土産と称し持ち帰ってきたかのどちらかだと推測したのだ。




僕がキムチ嫌いと知っての、この有様か!
なかなかいい度胸だ。
シン・チェギョン!




このように極めて俺様な考えに至ったシンは、チェギョンへの“お仕置き”を決行するに至り、結果、暴走し、現在このようにチェギョンを怒らせてしまった、という訳だったのだ。



それなのに!
まさかキムチを持ち込んだ真犯人が、姉ヘミョンだったとは━!



シンは苦虫を潰したかのような顔になるのだ。



「はれ?シン君?
 どうしたの?」
「!!」



いつものような反撃が来ないシンを不思議そう見つめるチェギョンの2つの瞳。
その清く澄んだ瞳を真っ直ぐに見つめ返すことができないシンは、微妙に目が泳いでしまう。



「シン君?」
「あ?ああ・・・・・。」



だが、それでも鈍いチェギョンのこと。
僕が疑っていたと気付くハズもないだろう━。



またもこんな風にどこまでも俺様的な結論に至ったシンは、反省の意味も込め、その体を労わる様にチェギョンを優しく抱き寄せ、背中を擦りつつ安心させるようにわざと耳元で囁くのだった。



「大丈夫だ。何でもない。
 気にするな。」
「???」




明らかに挙動不審なシン。
チェギョンはシンの言動に対し、さっきからモヤモヤしたものを抱えていた。




そういえば━?
何の話してたんだっけ?

シン君とさっきまで・・・・・そう“アレ”!
“アレ”は私のせいだとか何とか言ってたよね?
“アレ”って・・・・・、結局何だった?
えっと・・・・・?


・・・・・・はっ!?
ま、まさかっ!?




運が悪いことに、突然かつ不思議とチェギョンの勘が働きピーンと来てしまった。



そう。
シン君の“お仕置き”は、そういう理由だったのね━!




チェギョンはこのシンの一連の言動の真相に気づけたことで、思わぬキムチのプレゼントで一度治まった怒りも再燃してしまったのだ。




「なるほど、ね。
 そういうことだったんだ。
 シン君は、そのキムチ、私がやったと思ったんだ。
 ふ~ん。」
「!!」



突然チェギョンの口から出た核心を突く言葉に固まるシン。



いつだってどこまでも鈍感なチェギョンなのに、何故こんな時だけ絶妙に鋭いんだっ!?



シンはそうチェギョンに文句を言いたい衝動をグッと堪える。


チェギョンに上目遣いにジロリと睨まれ、さすがに分が悪いと、その場を取り繕うべく見事なプリンススマイルを瞬時に顔に貼り付けた。


それはシンが本当の気持ちを他人に悟られたくない時に、特に発揮される、皇太子時代に身についてしまった処世術だ。



「は?・・・・・なんのことだ?」



上品な微笑を湛えつつ、一縷の望みを掛け、取り敢えず一度、そう誤魔化してみるシン。



間近でシンの完璧な微笑を喰らってしまったチェギョンは図らずも瞬時に真っ赤に変身してしまった。


すっと通った鼻筋。
そして口を開けば腹立たしい程、意地悪な言葉を放つのに、ふとした時に真剣に“愛してる”と告げる上品な唇。
その瞳に囚われたら、一瞬でその身を絡め取られ、視線を逸らすことができなくなってしまう涼やかで切れ長の瞳。


その全てが彼が生まれながらに正真正銘の皇子様なのだと、物語っている。

シンにこれでもかと言うくらい甘く見つめられ、まるで恋に落ちた瞬間のように我を忘れ、ぽーっとなってしまうチェギョン。




が・・・。


もう一人の自分が“ここで流されちゃダメ!”と、先程までのヒドイ仕打ちと共に思い出させる。



「ダメよ!!ダメダメ~~~~っ!!」



目をギュッと瞑り、両手で拳を作って自分の頭をポカポカと叩き、この目の前のニセシンの幻想を振り払うチェギョン。

そしてやっと自分を取り戻すと、再び開いた目に力を込め、キッとシンを睨み返してきたのだった。




チッ!
作戦失敗か━。



残念なことに、このシンの作られた笑顔は今のチェギョンにはギリギリ通用しなかったどころか、ますますチェギョンの疑いの目を強くする結果となり、逆にシンは窮地に追い込まれてしまったようだ。




「ぜ~ったい、嘘っ!!! 
 絶対私だって思い込んでたんだ。
 嫌味なほどの完璧なその笑顔!
 それには、もう騙されないわよ!」




大きな瞳をこれでもかと言うくらい細め、じーっとシンを探る様に見つめるチェギョン。
さすがに、この手は通用しなかったか。
もう言い逃れは回避不可能だろう。



シンは急遽作戦変更を余儀なくされた。


 
「いや、ち、違うんだ!
 チェギョン!」



もう避けられない━!



シンは言い訳を口にしようとあれこれ考える。
が、取り繕おうとすればするほど、反比例してチェギョンの疑惑が確信に変わっていく。



「何が違うのよ!
 私、シン君がキムチ嫌いなこと知ってるんだよ?
 それを知ってて、こんなことするって思ったの?」
「そ、それは・・・・・。
 おまえの昨日の公務がキムジャンだったから・・・・・」



ますます目が泳いでしまうシン。
それで、もうチェギョンはシンに疑われていたと完璧に確信してしまったのだ。



「ちょっとお!
 ひどいじゃない!
 私が昨日“キムジャン”で漬けたキムチは“トンベチュキムチ(丸白菜キムチ)”だよ!
 こんな高級な“ポッサムキムチ”じゃない!
 確かに、一緒のグループになったアジュモニたちが、『折角だからこのキムチを是非持って帰って!』とは言ってくれたの。
 だけど、すぐ断った。

 あれは寄付するために、みんなで力を合わせて漬けたキムチだもん。
 流石にもらえないでしょ?」

 

そうなのだ。
折角のアジュモニの申し出だったので、あの場では好意を無碍に断ることもできず「喜んで受け取ります!」と色よい返事をしたチェギョンだったが、会場を後にする時、付き添いの内官に「丁重にお断りしておいて」と、お願いしておいたのだから。



シンはチェギョンの顔を直視できず、気まずそうに項垂れる。



それを見ても尚、絶対に騙されるもんか!と、チェギョンの中でどうにも我慢できない怒りがフツフツと湧き上がってくるのだった。



「その流れで、あの“お仕置き”?」
「う・・・・・・。
 それは!
 お、おまえだって僕の顔にイタズラしただろう!?
 あ゙・・・・。」



必死になって反論し墓穴を掘ってしまうシン。



「そんなの!
 ちょっとしたイタズラでしょ!
 シン君が私を疑ったことに比べれば、可愛いモンじゃない!

 そのお仕置きのせいでこんな風に歩けなくなったのよ!
 
 バカシン!
 この皇子病!」



チェギョンの怒りは本物のようだ。
シンはなんとかチェギョンの怒りを収めようと必死になるのだ。




「ごめん!チェギョン!
 確かに、僕の勘違いだった!
 許してくれ!」



チェギョンの肩を掴み、顔を覗き込み懇願するシン。
その手も無情にも振り払ったチェギョンはキッパリと言い切る。



「シン君はヒドイ!
 自分勝手に、私を疑って!」
「わ~!本当に悪かった!
 な?チェギョ~ン!」
「イ・ヤ!絶対許さないッ!」
「チェギョ~ン!」

「イ~ッダ!
 もうシン君とは一緒に寝ない!
 マジ立てなくなったのよ!」
「おいッ!それだけは絶対認めないからな!」
「認めないって何様よ!
 エロシンにそんなこと言う権利ない!
 バカ~~~!!」


「なに~!
 悪かったな!
 僕は皇子様だ!
 それも正真正銘の!」
「バカシン~っ!!!
 この世界一意地悪な最低男!」
「おいッ!」



最初は必死になって謝っていたシンだったが、いつまで経っても折れず、自分の悪口を言い続けるチェギョンに反論してしまっていた。


一方のチェギョンもシンに逆切れされ、尚更徹底抗戦の構えを強くしていったのだ。



2人の言い争いはヒートアップしていくばかりだ。






一体、殿下は何をされて、あれほどまでに妃宮様のお怒りを買われてしまったのだろう━?



時間になり内人たちを引き連れ、参上したコン内官とチェ尚宮。
今日も仲睦まじく取り込み中の2人に声を掛けることも憚られ、いつまでもドアの外で立ち尽くすのだった━。




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そんなこともあったが、挨拶の予定時間になり皇帝殿に向かった2人。



尚宮の先触れの後、入室してきたシンとチェギョン。


いつもと違う2人の様子。


シンはチェギョンを気遣う様に、その細腰に手を回し、躰を支えるようにぴったりと寄り添っている。
だが、その仲睦まじい様子とは異なり、お互いにそっぽを向き空気だけは険悪なシンとチェギョンを見て、不思議そうな顔をする太上皇母陛下パクと女王陛下ヘミョン。


2人が椅子に座るのを待って、待ちきれないとヘミョンが口を開いた。



「ね、ねえ?
 一体あななたち2人どうしたの?
 昨日はあ~んなに記者会見中だってラブラブだったじゃない?」



交互に2人の顔を見比べ、不思議そうに口にするヘミョン。



「「・・・・・・・・・。」」



言葉を発しようとしない2人を見て、パクとヘミョンは顔を見合わせる。
が、パクは楽しそうに笑った。



「ほほほほ。
 ヘミョン。
 
 “부부 싸움은 개도 안 말린다(夫婦喧嘩は犬も止めない)という諺がある。
 夫婦喧嘩には下手に第三者が介入する問題ではないのだ。
 へたすると問題がもっと大きくなるかも知れないし、夫婦のことは夫婦しか分からないのだからな。」


ニッコリと笑いながらそう告げるパク。
その言葉を受けてヘミョンもフォローするのだ。


「そうね。おばあ様。
 それに、“부부 싸움은 칼로 물 베기(夫婦喧嘩は刀で水切り)”(水を刀で切ってもすぐくっ付くように夫婦はすぐ仲直りするということ。)
 という諺もあります。
 
 つまり、ケンカするほど、シンとチェギョンは仲がいいということ。
 心配無用ですね。」



ヘミョンはシンとチェギョンを見比べながらパクに同意する。


 
「そうだヘミョン。
 この様子では、曾孫を我が手に抱ける日も近いということだろう。」
「・・・・・・・へ//////!?」
「お、おばあ様っ!
 そ、そのっ!
 皇孫については、まだしばらくお待ちいただきたく思っておりますっ!!」




いつもように少女のような無邪気さで爆弾を落とすパクに、シンは慌てふためきそう口にする。



これ以上この件に触れて、チェギョンと拗れるのはマズイ━。



シンはチラリと隣に視線を流してチェギョンの様子を窺うと、ちょうどこっちを見ていたチェギョンと視線がぶつかった。
真っ赤だった顔は一気に険しくなり、次の瞬間フン!と視線を外され、そっぽを向かれたシンだった。




部屋に流れる気まずい空気━。




本当に一体、何がシンたちに起こったの?


ヘミョンは注意深く2人を観察しながら言葉を発した。




「そ、そうだ。
 チェギョン。
 キムチは届いたかしら?」

「え?は、はい!
 あんなにたくさん。
 本当にありがとうございます。」



チェギョンはヘミョンの言葉に素直に返事をする。
義姉の心遣いに対して心からお礼を言うのだった。



「御礼を言うのは私の方よ。
 貴方のお蔭で、本当に助かったんだから。
 
 御礼の品なんだけど、おばあ様にご相談したの。

 チェギョンは食べることが好きじゃない?
 だから食べ物がいいんじゃないかっていうことになったの。
 ね?おばあ様。」
「おお、そうだ。
 妃宮は本当に美味しそうに何でも食べるであろう?
 その幸せそうな顔を我々もたくさん見たくて、妃宮の好物の品を選んだのだ。」

「喜んでもらえたかしら?」
「ええっ!それはもう!
 大~好きなんですキムチ。
 ありがとうございます!
 おばあ様。お義姉様。」



何度もペコペコと頭を下げ、精一杯感謝の意を表現するチェギョン。
ヘミョンとパクは満足そうに笑うのだった。
  


「だって、シンはキムチ嫌いデショ?
 だけど、チェギョンだって食べたいわよねぇ~。」
「え、ええ・・・・・・。」
「・・・・・・・・・?」



そう言うとニマニマと笑い、シンを流し見るヘミョン。



「シン?
 そなたはキムチが苦手なのか?」



パクは初めて知った事実に驚いた様子を見せる。


シンはここで気づいてしまった。


御礼と称しおばあ様と相談しキムチを選んだというのは、建前で、何らかのきっかけで僕のキムチ嫌いを知ったヘミョンがキムチをわざと選んだのだろう。


そうこれは、僕に対する仕返しなのだと。



ジロリとヘミョンを睨み返すシン。
その視線を受け、不敵に笑い返すヘミョン。


隣りにいたチェギョンは2人の間に俄かに流れ出した不穏な空気をなぜか察したようだ。
姉弟喧嘩勃発の予感がチェギョンに過る。


助けを求めるかのようにパクの方へ視線を移すと、パクはまったく気づかない様子でニコニコと笑っているのだった。



お、おばあ様っ!
気付いてないのぉー!!



一人このピンチに蒼くなるチェギョンの隣で、シンがついに口を開く。



「ほお・・・・。陛下。
 そんなお心遣いを妃宮にしていただいていたとは。
 夫の立場として、大変恐縮至極です。」
「まあ、大君殿下。
 可愛い義妹を思って故、姉としては当然の行為だと思いますわ。」



地を這うような低い声でシンが鋭くそう言うと、ヘミョンは挑戦的な視線でシンを射抜きながら真っ向反論した。
もう我慢ならないとシンはついに声を荒げた。



「姉さんっ!
 あれは姉さんの仕業だったのか!」
「きゃはっ❤正解っ♪」



あまりにも軽い返事に、フルフルと怒りで肩を震わすシンを見ながら、してやったりとニンマリと笑うヘミョン。



「あ~!
 私ってなんて心配りのできる義姉なのかしらっ?
 それに対してシン?
 あなたは夫という立場なのに、愛する妻の大好物がキムチだと知っていても、食べさせてもあげないなんて。
 なんて甲斐性ナシなの?」



千載一遇のチャンスとばかりにシンを攻めまくるヘミョン。




姉さん!そう来るか━!
もうこれは間違いなく昨日の仕返し、という訳だな。



シンはヘミョンが昨日の一件の腹いせにわざとこのような行動を起こしたのだと察したのだ。



ここはどう動くべきか━?



シンは素早く考えを巡らせる。
が、その時。



いきなりチェギョンが2人に割り込んできて、シンに対する鬱憤漏らし始めた。




「お義姉様っ!
 私もそう思ってました!
 ですよね~!?
 普通だったら一緒に住んでるんですもの!
 譲歩するのが当然ですよね?
 
 相手の好きなものは、自分も好きになろうと努力するものです。
 それなのに、シン君は認めないし、そういった努力も絶対にしないんですよ!」



大きく頬を膨らませ、熱く語り始めたチェギョン。
この思わぬ伏兵に唖然となるシン。



「まあ! そうなの!?
 チェギョン、あなたって不幸な妻だったのね・・・。
 我が弟のせいで、そんな辛い思いをさせてしまって本当に申し訳ないわ。

 でもね、それでも敢えて言わせてもらえる?
 シンってほら、育った環境のせいもあって、他人に気が利かないことが多分にあるの。
 それは、姉の立場として代わりに謝るわ。
 ね、おばあ様。」
「そうだな。
 妃宮。
 だが、シンは本当に努力を惜しまない子なのだ。
 これからは嫌いなキムチでも妃宮のため食べれるよう懸命に頑張るであろう。
 そうであろう?シン。」




ニッコリとシンに笑いかけるパク。




おばあ様━!
それは僕のフォローになってませんから!

それに姉さんっ!
どこまでも白々しいっ!!



苛立ってチッと舌打ちをするシンの隣で、パクとヘミョンの言葉に“じーん”となる単純なチェギョン。



哀れむかのような表情を大袈裟に作り、シンに同情したヘミョン。
だがシンはその表情の下に隠された、笑いを必死に堪えている様子を見てしまった。



くっそ━!
姉さんっ!
汚いぞ!



女3人にいいように扱われ反論の余地がないシン。


一方、パクとヘミョンにフォローされたチェギョンは、気が一気に大きくなってしまい、ますます口が滑らかになっていく。



この際、シン君をお2人に窘めてもらおう━。



昨夜からのシンの態度に不満が蓄積していたこともあり、もうチェギョンを止めることは不可能だった。



「実はですね~。
 シン君はそのキムチを私の嫌がらせだと思い込んでたんです!」
「!!」
「それは誠か?」
「まあ、シン!
 あなた直接本人に確かめもせずにそんなひどいことを?
 それはチェギョンが怒るのも無理ないわよ。」



ニマニマしシンを横目に見ながら、ヘミョンはチェギョンに大袈裟に同情してみせる。
ヘミョンの援護にチェギョンはさらに不満を漏らし続ける。



「でっしょ~?
 それで、“お仕置き”とか言って、朝から・・・・・もごっ!」
「わわわわ~~~~っ!!!
 チェギョン!」



バカチェギョン!
おまえなに血迷って言おうとしてるんだっ?!



シンは慌ててチェギョンに飛びつき、口を塞いだ。
が、チェギョンはその手を振りほどき、さらに続ける。



「シン君は黙ってて!!

 お義姉様!
 私、私を疑ったシン君と一緒にいたくないんです!
 お義姉様のところに御厄介になりたい!
 ダメですか?」

「!!」
「なっ!チェギョンっ!」


このチェギョンの唐突な言葉にシンは椅子から立ち上がった。
ヘミョンはチェギョンの申し出にニヤリと笑い、ついに勝ち誇ったかのような顔を取り乱すシンに向けた。



おもしろ~い!
シン!
覚悟しなさい!



チェギョンをニッコリと見つめ、口を開くヘミョン。



「そうよね、チェギョン。
 流石にそんなシンとは一緒に居たくないわよねぇ。
 ちょっとあなたたちは離れて、冷却期間を置いたほうがいいかしら?
 ね?」
「姉さんッ!!」



シンは阻止しようと口調を荒げる。
それを一切無視し、チェギョンにキッパリと告げるのだった。



「いいわ!
 もちろん大歓迎よ!
 シンには反省してもらいましょう。

 じゃあそうと決まれば、今から私のところにいらっしゃい。
 戴いたものだけど、某有名店の美味しいケーキもあるし♪」
「わあ~本当ですかぁ?」



まるで犬のように涎を流し、しっぱを振ってついて行きそうなチェギョン。





汚いぞ姉さんっ!
食べ物でチェギョンを唆すなんて!


そうはさせじと堪らず声を出すシン。




「やあ!チェギョン!僕はまだ許可を出してないぞ!」




そのままヘミョンについて行きそうなチェギョンの腕を急いで捕まえるシン。



「ちょっと!
 シン君は関係ないでしょ!
 黙ってて!」
「ご、ごめんチェギョン!
 何度でも謝る。
 だからどこにも行くな!
 傍にいてくれ!」
 
「絶対にイ・ヤ!」
「なあ~頼むっ!」
「ちょっとお~!放してよっ!」



チェギョンはシンの手を振りほどき、立ち上がろうとするが、足に力が入らずよろけて、そのまま床にぺたりと座り込んでしまったのだ。




これを好機と逃すものかと、その腕にチェギョンを抱き上げるシン。



「きゃあ/////!」



慌てるチェギョン。
シンはもうこれ以上誰にも口を挟ませないよう、軽く一礼し早口でこう述べるのだった、



「陛下!
 妃宮は朝からこのように生憎不調なのです。
 もしかすると嬉しいご報告ができるかもしれません。
 我々は一度私室に戻り、妃宮に太医院の診察を受けさせようと思います!」
「な//////!シン君っ////!?」
「ま、まさか???」
「シン!そ、それは誠か!?」


「シン君っ!!!!な、何勝手なこと言ってるのぉ~/////!!!!」



一気に色めき立つヘミョンとパク。
シンはそれに対しては返事を返さず、再び一礼すると身を翻し、真っ赤になったチェギョンをお姫様抱っこしたまま退出していくシン。



「妃宮。さあ、帰ってゆっくりと休もう。」
「バカ~~~~~っ!!
 こうなったのは誰のせいなのよ~!!
 いや~~~~~っ!!降ろして~!
 お義姉様のところへ行くんだから~!!」


チェギョンは焦ってシンの腕の中で暴れる。
侍従者たちが石像のようにお辞儀をした体勢で待機する中、余計なことは言わせまいと、急いでその場を去るシン。


「おまえはどこにも行かせないからな!
 さ、ウチに帰るぞ!」



口角を上げにやりと笑ったシンは、そのままチェギョンの唇にチュッと軽くキスを落とした。



「っ~~~~~!!!!
 このドスケベ~!
 最低男!皇子病~!!!」



チェギョンの叫び声は景福宮の空に吸い込まれて行ったのだった━。





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その後━。


宮家の家族から一心に期待されていたシン・チェギョン大君妃殿下懐妊の吉報は聞かれることはなかった━。



代わりに。
寡黙にキムチを食べる、涙ぐましいまでのシンの姿が従事者たちに幾度となく目撃されることとなる。

たくさんのペットボトルの水に囲まれながら━。



その背中はどこまでも哀愁を漂わせ、声を掛けるのも憚られるほど、だ。




“食事の好みに滅法煩かった“あの”皇太子殿下が妃宮様のために、ここまで努力なさるとは!”



さすがは先々帝陛下が是非宮家にと定められたお方だ、と、チェギョンの凄さは宮中の誰もに知れ渡ることとなり、宮の影の実力者、と異名と取ってしまうほどになったのだった。



キムチ嫌いを克服できるまでは、シン君と一緒には寝ないし、そういうコトは絶対にしない━!


実はその裏では、寝こみ時にイタズラされた、あの時の写真のデータの流失をチラつかせ、チェギョンがシンを脅していたのだが、その事実を知る者は誰もいない━。




来年も、その次の年もずっと一緒に“初雪”をチェギョンと見るために、ひたすらシンは頑張るのだった。



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おしまい☆





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“akiの…”ブログ開設半年記念のお話『初雪~チョンヌン~』はいかがでしたか??


今回もakiの妄想が暴走してしまい、シン君は俺様な態度を貫き通し、チェギョンに無体を強いてしまいました(汗)
シン君にお灸を据える展開になってしまったものの、シン君ファンの皆様、チェギョンファンの皆様、本当にごめんなさい!



シン君をキムチ嫌いの設定にしてしまいましたが、それが本当なのか?それは分かりません(苦笑)
韓国人だったら食べ慣れてるはずですよね?
辛ラーメン食べているシーンありますし、辛いのが苦手という訳では思うのですが(苦笑)


まあ、akiの勝手な妄想なので、その辺はご理解ください☆




この『初雪』ですが、akiの中はブログ開設して色々なことが初めての試みでした。

番外編は1日くらいで一気に書き上げることが多かったのですが、『初雪』は今までとは違い、しょっぱなから見切り発車でUP、一切オチを考えていなかった作品なんです~(苦笑)
行き着く先が明確になってないまま、書くのは結構大変で悩みどころでした。

いつものように番外編の中で、シン君のドSっぷりは健在ですが、ここまで引き伸ばしたお話になるとはaki自身予想外!


徐々に話をまとめるのがヘタになっていっているような気がしてます。
あの話も、この話も入れてみたいと、長くなっていく傾向にあるようです。


ど~しても入れたかったネタがあるからと、vol.5のあとがきで書いたのですが、それは“ヘミョンの仕返し”の部分なんですね~(笑)
その話に持って行くために、あれやこれやと書き直しが必要になり、時間がかかってしまったので、そこまでここに拘ることもなかったのかも、と思ってしまいますが。


vol.5の“シン君は寒さだけには滅法強いんじゃないの?”
このセリフもチェギョンにちょっと言わせてみたかった(笑)


あとシン君の心のつぶやき“チェギョン、愛し合おう。僕たち愛し合おう━。”の部分ですが、分かった方は相当スルドイです!
ウネちゃんが主演していたドラマ“ポゴシッタ”の中でジョンウ(パク・ユチョン)がソヨン(ウネちゃん)に対して言うセリフなんです~!


今年の流行語大賞“ダメよ~ダメダメ~”も。


ははは~。
akiのお遊びですね(笑)



私生活では仕事や子供の行事ごとで、思う様に自分の時間も取り辛く、そのせいで不定期に更新となり、みなさまには大変ご迷惑をおかけしました。
年末に差し掛かりますます忙しく、休日にも関わらず追加の仕事もバンバン入って来ていたので、妄想も途絶えがちに・・・。


aki自身何とな~く一貫性なく、不完全燃焼の感が否めない作品となってしまいちょっと不本意です。
「このスタイルは私には合わない!」と重々解りました(涙)
もう二度としません!!


これからはちゃんと全部仕上がってからUPするというスタイルで統一させていただこうと思います。




そして12/20(土)は予定どおり『3.Reunion #4』をUPします!



マカオに着いたシン君。
忙しいスケジュールをこなしながら、ついに“あの人”と対面しますよ~。





『初雪』、最後までお読みいただき、ありがとうございました☆




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2014.12.18 ブログ開設半年記念の日に  aki

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